道徳の授業するときの問題って、どんなものがあるの?
4つの視点から場面設定されることが求められているよ。
道徳的な問題を4つの視点から見る
4つの視点はこれだよ。
①道徳的諸価値が実現されていないことに起因する問題
②道徳的諸価値について理解が不十分または誤解していることから生じる問題
③道徳的諸価値のことは理解しているが、それを実現しようとする自分とそうできない自分との葛藤から生じる問題
④複数の道徳的価値の間の対立から生じる問題
道徳的諸価値が実現されていない
たとえば、ついついどら焼きを買いすぎて、欲しいゲームが買えなかったとか?
そうだね。それは「節度、節制」にかかわるところだね。
そうか、節度を守り、節制に心がけていれば、欲しいゲームもどら焼きも買えていたということか。
理解が不十分または誤解
たとえば、勉強が分からないのび太君を見て、代わりに全部宿題をやってあげるのはダメ?
だめだね。のび太君のためになっていないよね。
でも、のび太君わからなくて困っているんだよ。かわいそうだよ。
気持ちはわかるけど、のび太君のためにはならないよね。
でもでも、のび太君このままだとママに怒られちゃう。
それなら、のび太君が分かるようにやり方を何回も教えてあげるっていう助け方ができるよね。
のび太君のために親切にしたつもりが、やり方が間違っていたんだね。
そうだね。これは、「親切と思いやり(中学校は、思いやり、感謝)」にかかわる理解が不十分または誤解していることから起きてしまったね。
実現しよう、できない葛藤
たとえば、スネ夫が教室の花瓶を落として割ったのに、そのまま何も言わず立ち去るところをのび太君が見つけて「どうしよう」と困っているとか?
まさにそれだね。「善悪の判断、自律、自由と責任(中学校は、自主、自律、自由と責任)」にかかわるところだね。
先生にチクったら、あとでスネ夫に何されるかわからないし、でもこのまま言わないとのび太君がもやもやしたままだし。
でも、スネ夫に左右されないで正しいと思ったことをしたほうがいいよね。
でもさ、でもさ、先生に言ったほうがいいと思うよ。それに、スネ夫にちゃんと先生に伝えたほうがいいよっていうのがいいよ。でもさ、でもさ・・・。
こういうのが、道徳的諸価値は理解しているけど、葛藤から生じる問題だね。
道徳的価値の対立
対立ってどういうこと?道徳的価値って対立しなくない?
どちらも道徳的価値があるけど、対立することがあるんだ。モラルジレンマっていうものさ。
モラルジレンマって何?
複数の結論の中で悩み葛藤することを「モラルジレンマ」っていうんだよ。
たとえば、どういうのだろう。
国境なき医師団で活躍する貫戸朋子さんの限られた酸素ボンベをどう使うかっていう話があるよ。あなたならどうする?
貫戸朋子さんは医師として国境なき医師団で活動していた。貫戸さんの働く診療所にお母さんに連れてこられた五歳の男の子が来た。苦しそうな息。目は白目をむき,天井を向いていた。
“もう,助からない・・・。”
医者としての経験や知識が朋子さんにそう確信させた。そのとき手元には酸素ボンベ
は一本しか残っていなかった。この次にいつ酸素ボンベがもらえるかわからない。
“ああ,これは酸素をとっておきたい”
貫戸さんはその子に酸素マスクをつけたものの,もう切ろう切ろうと思いながら,5秒
数える間だけ待とうと考えた。一,二,三,四,…五。男の子の様子は変わらなかった。
これって、どうしたらいいんだろう。切ったら、男の子は死ぬし、切ったら、より多くの人の命が助かるかもしれないし。
答えがこっちってはっきりと言えないんだ。でも、考えることはすごく大事だよね。
まとめ
道徳的な問題の4つの視点はこれ。
①道徳的諸価値が実現されていないことに起因する問題
②道徳的諸価値について理解が不十分または誤解していることから生じる問題
③道徳的諸価値のことは理解しているが、それを実現しようとする自分とそうできない自分との葛藤から生じる問題
④複数の道徳的価値の間の対立から生じる問題
どの問題についてか把握しながら道徳の授業を実践していきましょう。
煉獄さんだったら、ここにいる誰も死なせないのに。煉獄さん、どうしたらいいでしょう。